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句動詞が特別に難しい、その理由

意味が部品から組み立てられない、同じ形が複数の意味を持つ、目的語の位置が動く、そして口語寄りである。「句動詞200個を暗記」がほぼ効かない理由も、ここから説明できます。

give up、look after、put off、run into。動詞に短い語がひとつ付いただけの形なのに、英語学習者にとっては最も定着しにくい部類に入ります。個々の部品はどれも初級で習う語なのに、組み合わせになると読めない。理由は四つあります。

理由1 — 意味が部品から組み立てられない

give は「与える」、up は「上へ」。ところが give up は「あきらめる」です。部品の意味をどう足しても、この意味は出てきません。言語学ではこれを非構成的と呼びます。全体の意味が部分の意味の関数になっていない、ということです。

全部がそうだというわけではありません。sit down や come back のように、部品から素直に読めるものもあります。難しいのは、その中間にあるものです。look up a word の up は「上へ」の名残があるようにも見えるし、ないようにも見える。この曖昧さのせいで、学習者は「たぶん推測できるはずだ」と思って推測に失敗します。推測できないものだと最初から知っていたほうが、対処は速い。

そして、日本語話者にとっての追加の困難があります。日本語には対応する構造がありません。動詞に助詞や補助動詞がつく形はありますが、動詞と副詞的な小辞が組み合わさって全く別の意味になる、という仕組みは持っていません。だから、この形式を見たときに「これは一つの語だ」と扱う直感が働きにくい。

理由2 — 同じ形が複数の意味を持つ

get の例を並べてみます。get up は起きる、あるいは立ち上がる。get over は乗り越える、あるいは病気から回復する。get through は通り抜ける、やり終える、電話が通じる。get along は仲良くやる、あるいは何とかやっていく。get by は何とか間に合わせる。get out は出る、あるいは秘密が漏れる。

同じ get という動詞に、6つの違う小辞が付いて、それぞれが複数の意味を持っている。しかも意味の分岐は文脈でしか決まりません。I got over it が「乗り越えた」なのか「回復した」なのかは、その前後を見ないとわかりません。

この構造は、リスト暗記と極端に相性が悪い。リストには1つの意味しか書けないので、覚えたその1つが出てこなかったときに手がかりがなくなります。しかも get のように多義の激しい動詞ほど頻度が高いので、実際の文章で出会う確率も高い。

理由3 — 目的語の位置が動く(分離可能性)

句動詞には、目的語を間に挟めるものと挟めないものがあります。

見た目からはどちらの型かわかりません。同じ「動詞+小辞」の形をしているのに、片方は割れて片方は割れない。この情報はその句動詞ごとに覚えるしかないので、覚えるべき項目が実質的に倍になります。

読むときには、この違いはさほど問題になりません。turn the light off と書かれていても、turn と off が離れていることに気づけば理解はできます。困るのは書くときと話すときで、割れない型を割ってしまうと、はっきり不自然になります。

理由4 — レジスター、つまりどの場面で使うか

英語には、同じ意味をラテン語系の1語で言う方法と、句動詞で言う方法の両方が用意されていることがよくあります。postpone と put off、tolerate と put up with、investigate と look into、continue と carry on。

傾向として、句動詞のほうが口語寄り、単一の動詞のほうが硬い書き言葉寄りです。日常会話やくだけたメールでは句動詞のほうが自然に響き、学術論文や公式文書では単一の動詞が選ばれます。

ここは注意が要ります。学習者は、句動詞を覚えたあとに、あらゆる場面で使いたくなります。しかし試験の writing、特に学術的な writing では、句動詞を多用すると口語的すぎると判定されることがあります。逆に、会話で硬い動詞ばかり使うと、教科書的で距離のある印象になります。どちらが正しいという話ではなく、場面ごとに選ぶという話です。

ただし、この対応は完全ではありません。put up with に完全に対応する硬い1語はありませんし、come across の「偶然出会う」という意味も、encounter では少しずれます。置き換えられると思い込むと、かえって不自然になります。

なぜリスト暗記がほとんど効かないのか

ここまでの四つを合わせると、答えが出ます。句動詞を200個並べたリストを暗記しても、そこに書けるのは形と代表的な訳語だけです。リストに書けないのが、意味の分岐条件、分離できるかどうか、そしてどの場面で使うかという情報で、しかもこの三つこそが実際に必要な情報です。

さらに、リストは形の似たものを隣に並べます。get up、get over、get through が縦に並んでいると、記憶が干渉します。ちょうど、単語帳のアルファベット順が引き起こす問題と同じ構造です。

かわりに効くのは、文の中で出会うことです。文の中なら、意味の分岐は文脈が決めてくれるし、目的語がどこにあるかは目に見えるし、その文がどれくらいくだけた文なのかも一緒に伝わります。リストに書けなかった三つの情報が、文には全部入っています。

Lexi の単語帳には Phrasal Verbs & Set Expressions が入っていて、これを選ぶと句動詞や決まった言い回しを含む文が1つずつ流れてきます。リストとして眺めるのではなく、文の中で1回ずつ会う形です。語をタップすれば発音記号と意味、もう一度タップすれば文全体の訳が出るので、意味の分岐がその文でどう決まっているかを確認できます。

実際にどう覚えるか

  1. 句動詞は1語だと考えます。give up を give と up に分けて考えないでください。分けたところから推測が始まり、推測は外れます。
  2. 出会った文ごと記録します。訳語だけではなく、その語がどんな文に入っていたかを残しておくと、意味の分岐条件が一緒に保存されます。
  3. 同じ句動詞に別の意味で出会ったら、そのときに追加します。最初から全部の意味を覚えようとしないでください。
  4. 目的語が代名詞になったときの形を、一度だけ試してみます。turn it off が自然で turn off it が不自然だと感じられるようになれば、分離可能性は身についています。
  5. 書くときは、その文書が硬いか柔らかいかを先に決めます。決めてから、句動詞を使うかどうかを選びます。

よくある質問

句動詞は全部でいくつ覚えればいいですか。

数を目標にするのはおすすめしません。句動詞は頻度の偏りが極端で、上位の数十個が実際の使用の大部分を占めます。get、take、put、come、go、look、turn を中心にした組み合わせを、意味の分岐も含めて確実にするほうが、200個を訳語1つずつで並べるより実用的です。目標を立てるなら「いくつ覚えたか」ではなく「文の中で見て止まらないものがいくつあるか」で数えてください。

句動詞と、単一の動詞はどちらを使うべきですか。

場面によります。日常会話やくだけた文章では句動詞のほうが自然で、学術的な文章や公式文書では単一の硬い動詞が好まれます。試験の writing では、種類にもよりますが、句動詞を多用すると口語的すぎると見なされることがあります。ただし、put up with のように対応する1語がないものもあるので、機械的に置き換えるのは避けてください。まず文書の硬さを決めて、それから選ぶ順番が実用的です。

目的語を間に入れていいかどうかは、どう見分けますか。

見た目からは判別できないので、句動詞ごとに覚えるしかありません。ただし規則が一つあります。分離可能な型では、目的語が代名詞のときは必ず間に入ります。turn it off は言えて turn off it は言えない。この規則を知っていると、代名詞を使う場面では迷いません。名詞のときはどちらでも言える型が多いので、実務的には代名詞のパターンだけ覚えておけば大半は乗り切れます。

句動詞の意味を、部品から推測することはできますか。

できるものとできないものがあり、しかも見分けがつきません。sit down や come back のように素直なものもあれば、give up や put up with のように部品の意味とまったく関係のないものもあります。厄介なのは中間にあるもので、推測できそうに見えて外れます。実務的には、推測しようとするより、その句動詞をまるごと一つの語として扱ったほうが速い。推測は、確認したあとで「なるほどこうつながるのか」と納得する用途に使うと有益です。

句動詞専用の単語帳を買うべきですか。

リストとして暗記するために買うなら、あまりおすすめしません。句動詞で実際に必要な情報、つまり意味の分岐条件、分離できるかどうか、どの場面で使うかは、リスト形式では伝わりにくいからです。例文が豊富で、同じ句動詞の複数の意味をそれぞれ別の文で示しているものなら価値があります。買うかどうかを決める前に、get over の項目を見て、意味が一つしか書かれていないなら棚に戻してください。

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Lexiは短い英文を1つずつ差し出します。そこに知らない語はちょうど1つ。タップすれば発音記号と意味、もう一度で文全体の訳、どちらも読み上げられます。ライブラリは端末の中にあるので電波がなくても動き、アカウント登録もありません。1日30文、すべての単語帳、すべての語義言語が無料です。

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