オフラインであること、アカウントがないこと
「オフライン対応」と「アカウント不要」は、機能表の項目に見えて、実際には学習が続くかどうかに直接効きます。ただし、オフラインでは本当にできないこともあります。
機能一覧に「オフライン対応」「アカウント不要」と書いてあっても、多くの人はそこを読み飛ばします。地下鉄で困ったことがなければ、なぜそれが重要なのかがわからない。ですが、この二つは学習が続くかどうかにかなり直接効きます。
オフラインが実際にもたらすもの
通勤の死に時間が使えるようになる
多くの人にとって、1日のうち最もまとまって空いているのは通勤時間です。そして日本の通勤の相当部分は地下です。電波が途切れる区間で読み込みが止まるアプリは、その時間帯にちょうど使えません。
ここで効くのは、単に「使える・使えない」ではありません。一度でも待たされると、人は別のアプリに切り替えます。切り替えた先から戻ってくることは、あまりありません。学習アプリの競争相手は他の学習アプリではなく、その5秒の待ち時間に開かれる別の何かです。
通信を待つ間に注意が漏れる
ネットワーク要求が入ると、そこに数百ミリ秒から数秒の空白ができます。この空白は短いようで、注意にとっては十分に長い。読んでいた文から意識が離れ、そのタイミングで通知が来れば、そちらへ移ります。
端末の中にデータがあれば、この空白がそもそも生まれません。次の文が即座に出るという体験は、機能としては地味ですが、集中の維持という点では効きます。
飛行機と、電波の届かない場所
機内モード、山、地下の駐車場、海外で SIM を用意していない期間。こうした場面は年に何度もあるわけではありませんが、来たときに使えないと、そこで習慣が途切れます。習慣は途切れた回数ではなく、途切れた期間の長さで死にます。
アカウント必須の本当のコスト
アカウント登録は、手続きとしては1分か2分です。コストはその2分ではありません。
第一に、摩擦が入る位置が最悪です。アプリを入れた直後、つまりやる気が最も高い瞬間に、メールアドレスを入力し、パスワードを考え、確認メールを開き、認証コードを写す作業が挟まります。この間にやる気は目減りします。そして一定の割合の人は、ここで離脱します。
第二に、データの足跡が残ります。メールアドレスを渡した先は、あなたの学習記録とそのアドレスを結びつけて保持します。そのサービスが将来どうなるか、そのデータがどこへ行くかを、あなたは制御できません。多くの場合それは大した問題になりませんが、選ばずに済むならそのほうがいい。
第三に、退出のコストが上がります。アカウントを作ったサービスをやめるときには、削除の手続きが必要になります。手続きが面倒だと、使っていないアカウントが残り続けます。
オフラインでは本当にできないこと
正直に書いておきます。オフラインで完結しない機能は確かにあります。境目ははっきりしていて、あらかじめ用意しておけるものは端末に入れられ、その場で作られるものは入れられません。
- 生成されるテキスト。その日の学習内容に合わせて書かれる文章、その語のためにその場で作られる例文。これらは要求が届いてから作られるので、通信が必要です。
- 端末をまたぐ同期。二台目の端末に進捗を持っていくには、どこかを経由する必要があります。
- 内容の更新。新しい文や語が追加されるとき、それを受け取るには通信が要ります。
逆に、辞書の語義、発音記号、文のライブラリ、そして端末内蔵の音声合成による読み上げは、すべてあらかじめ端末に置けます。ここが分かれ目です。
Lexi の場合はこうなっています。文と語のライブラリはアプリと一緒に端末に入るので、文を読むこと、語義と発音記号を見ること、読み上げを聞くことは通信なしで動きます。通信が要るのは AI を使う二つの機能、つまり「今日のストーリー」と AI 例文だけで、これらはその場で生成されるためです。
そしてもう一点、正直に書いておくべきことがあります。この二つの機能を使うと、データはサーバーへ送られます。今日のストーリーは、その日に学んだ語とその語義、その日のカウント、インターフェース言語、端末のローカル日付を送ります。AI 例文は、指定した1語とインターフェース言語を送ります。「データが端末から一切出ない」というのは、この二つを使う場合には事実ではありません。使わなければ送られません。
アカウントについては、Lexi は登録を求めません。サインアップも、メールアドレスも、パスワードもありません。ただし、AI 機能の利用回数に上限を設けるために、それらを初めて使うときに匿名のセッションが作られます。端末に置かれるランダムな識別子で、あなたを特定する情報は含まれていません。アカウントではありませんが、何もないわけでもない、という書き方が正確です。
そのアプリが本当にオフラインで動くか、確かめる方法
説明文の「オフライン対応」という言葉は、実際にはかなり幅があります。全部入っているものもあれば、直前に見た数画面がキャッシュに残っているだけのものもあります。確かめるのは簡単です。
- アプリを入れて、初回のダウンロードが終わるまで待ちます。ここで大きなファイルを取りに行くなら、それが端末に置かれる本体です。
- 機内モードにします。Wi-Fi も切ってください。
- アプリを完全に終了して、開き直します。ここで再起動するのが重要で、メモリに残っていた分ではなく、保存されている分を見ることになります。
- 普段やる操作を10分ぶん通してやります。次の項目へ進む、語を調べる、音を鳴らす、記録を見る。
- どこで止まるかを見ます。止まった箇所が、そのアプリにとって通信が必要な部分です。
この5分の確認で、説明文を読むより正確なことがわかります。特に3番目の再起動を飛ばさないでください。飛ばすと、キャッシュだけで動いているアプリが合格してしまいます。
ストレージの使用量を見るのも有効です。設定からアプリのサイズを確認して、数十メガバイト程度しかないなら、辞書や大量の文が端末に入っているとは考えにくい。中身が端末にあるアプリは、それなりの容量を占めます。
どこまでを求めるべきか
すべてをオフラインで済ませる必要はありません。目安として、毎日繰り返す中核の操作が通信なしで完結すればいい。生成されるもの、同期、更新は通信があるときにまとめて済ませる、という切り分けで実用上は困りません。
判断の基準を一つ挙げるなら、電波のない場所で開いて、いつもどおりの学習が10分できるかどうかです。できるなら、その部分は端末の中にあります。
よくある質問
オフラインで使える英語学習アプリの見分け方はありますか。
機内モードにして、アプリを完全に終了してから開き直し、普段の操作を10分ぶん通してみるのが最も確実です。再起動を挟むのが重要で、これを飛ばすとメモリに残っていた分で動いてしまい、キャッシュだけのアプリが合格してしまいます。あわせて、設定でアプリの使用容量を確認してください。辞書や大量の文が端末に入っているアプリは、それなりの容量を占めます。
アカウントがないと、機種変更のときにデータは移せませんか。
アカウントによる同期がない場合、移す方法はアプリごとに違います。データの書き出しと読み込みに対応していれば、ファイルとして持ち出して新しい端末で読み込めます。端末のバックアップ経由で移るものもあります。いずれにせよ、アカウントがない代わりに、移行は自分で操作する必要があると考えておくのが安全です。機種変更の予定があるなら、その前に書き出しの手順を一度試しておいてください。
オフラインで動くなら、通信は一切不要ということですか。
そうとは限りません。多くのアプリでは、あらかじめ用意できるものは端末に入り、その場で作られるものは通信が要る、という切り分けになっています。辞書、発音記号、既存の文、端末内蔵の音声合成による読み上げはオフラインで動きますが、AI が生成する文章や例文は要求が届いてから作られるので通信が必要です。どの機能が通信を使うかを説明しているアプリを選ぶと、判断しやすくなります。
アカウント不要のアプリは、データの扱いも安全ということですか。
必ずしもそうではありません。アカウントがないことは、メールアドレスやパスワードを渡していないという意味であって、何も送信されないという意味ではありません。広告の識別子を集めているアプリもありますし、機能の一部でサーバーにデータを送るものもあります。プライバシーポリシーを開いて、何が、いつ、どこへ送られるかが具体的に書かれているかを確認してください。書かれていないアプリより、書かれているアプリのほうが信用できます。
通勤中に使うなら、どういう形の学習が向いていますか。
中断できる単位が小さいものが向いています。1文、1語のように、いつ止めても損をしない粒度なら、乗り換えや降車で切れても再開できます。逆に、10分続けないと成立しない形式は通勤に向きません。あわせて、音を出さなくても成立するか、片手で操作できるかも実用上は効きます。読み上げを使いたい場合はイヤホンが前提になるので、その日の状況によって音あり・音なしを切り替えられる作りだと続きます。
10分だけ、この方法を試す
Lexiは短い英文を1つずつ差し出します。そこに知らない語はちょうど1つ。タップすれば発音記号と意味、もう一度で文全体の訳、どちらも読み上げられます。ライブラリは端末の中にあるので電波がなくても動き、アカウント登録もありません。1日30文、すべての単語帳、すべての語義言語が無料です。